『NFTアートは100年後の「骨董」になりうるか?』
『デジタル骨董』というなんとも不思議な言葉が浮かんだのは、昨今のNFTアート市場の動向を横目に見ながら、「100年後には画像データをあたかも骨董品のように愛でているのかもしれない」と思ったことがきっかけだった。従来、「物理的な所有が可能か」という点において、対極に位置していた骨董品とデジタルアート。しかし近年、ブロックチェーン技術の発達に伴い、コピーが容易なデジタルデータに対して唯一無二な資産的価値を付与する「NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)」が社会実装され、デジタルアートは「いつ、誰が」所有してきたかを明確に証明することが可能となった。
これは、愛好家によって代々継承されることで価値が形成されてきた「骨董」とデジタルアートも同じ土俵に立てることを意味しているのではないか。だとすれば、日々生み出される無数の画像データですらも、未来の骨董品になりうるのかもしれない。とはいえ、千利休や豊臣秀吉が生きた時代には、一国一城の価値があるとも讃えられた「茶器」などと比べて、「画像データ」は果たして本当に同様の価値を生み出すのだろうか。時代の潮流によって一時的に高騰しているとも見えるNFTアートの市場は果たして、本当に価値あるモノとして未来へ継承されるのか?
本展は、これからの「価値」と「所有」が果たしてどこへ向かうのかを考察する展覧会である。これまで、モノの価値がどのように変化してきたかの歴史を振り返りながら、NFTによるデジタルデータの「希少性の担保」と 「所有者の明確化」が可能となった現代を時代の境目と捉える。本展示で問いかけるのは、「価値とは何か?」という人類の営みの本質である。
展覧会概要
デジタル骨董展ーこれからの価値と所有を考えるー
展示期間:2022.10.29(土)-11.13(日)
営業時間:11:00~20:00
会場:BE AT STUDIO HARAJUKU(ラフォーレ原宿6F)
https://be-at-tokyo.com/projects/beatstudio
入場料:無料
主催:BE AT TOKYO
企画プロデュース:有國恵介(BE AT TOKYO/FLOWPLATEAUX)
企画・編集:桜井祐(TISSUE Inc.)、塚田有那(一般社団法人Whole Universe)
監修:鞍田崇(哲学者)、加藤明洋(アーティスト・エンジニア)
協力:吉田真一郎(近世麻布研究所)
空間デザイン:赤羽伸哉
アートディレクター:畑ユリエ

出展作品
<NFT>
exonemo《Metaverse Petshop》 
加藤明洋《Wan Nyan Wars》
HUMAN AWESOME ERROR《民主的工藝》
藤幡正樹《Brave New Commons》 
高尾俊介《Generativemasks》
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