かぞくっち
2022
かぞくっちは、物理ロボットの群れを宿主として用いる、生殖を伴うデジタル人工生命をテーマとしたプロジェクトです。本プロジェクトは、移動可能なロボットハウスそれぞれの中に生きるデジタル人工生命体「かぞくっち」の家族から構成されています。
それぞれの かぞくっち は、名前、生年月日、ファミリーネーム、遺伝子情報を持つ NFT と紐づけられています。生殖、誕生、成長、そして死に至るまでの生命の循環はデジタル上に記録され、継承されていきます。同じ家族から生まれた かぞくっち は共通の姓を持ちつつ、それぞれ固有の名前を与えられます。これらの情報をブロックチェーンに刻むことで、デジタルでありながらリセットすることのできない「生命」を描こうとしています。
かぞくっちの遺伝子は 64 文字で構成されています。子どもが誕生する際には、母親と父親それぞれの遺伝子を混合することで生成されます。かぞくっちの色や形、性格は遺伝子によって決定されます。展示空間に設置されたビジュアライザーには家族用のチャットルームがあり、AI が時事問題や哲学的な問いといったテーマについて、各かぞくっちの性格を反映した会話を生成します。
東京で開催された展示では、東京のジオラマが設置されました。各建物には IC タグが取り付けられており、ロボットはチェックインすることで建物から情報を取得することができます。このジオラマは、実際の東京と同様に、東の都市部から西の山岳地帯へと傾斜しています。また、10 分を 1 サイクルとした昼夜のシミュレーションが行われ、昼、夕暮れ、夜の照明が時間帯に応じて切り替わります。かぞくっちは明るさや時間帯、傾斜といった環境要因の影響を受け、その行動パターンが変化するように設計されています。
実在する都市のジオラマとデジタル人工生命のエコシステムを重ね合わせることで、かぞくっちのインスタレーションは、鑑賞者の想像力と地域に根ざした知識や記憶を結びつけます。また、作品の前で交わされる会話や議論そのものが、多様な視点や気づきを生み出すことを意図しています。
菅野創+加藤明洋+綿貫岳海